私は現在、2018年度に開学した公立小松大学保健医療学部看護学科で勤務をしております。新設の大学ですので、大変さもありますが、学生と共に大学の伝統を一から作り上げていく過程を楽しんでもおります。生まれも育ちも宮城県であった私が、縁あって石川県に来ることになり、当初は不安もありましたが、多くの人との出会いや多様な考え方、また北陸の文化に触れることで、自分自身が成長したかなと思っております。
博士後期課程を修了して早や3年が経過しました。大学院での学びは、それぞれの学生の能力や志、資質を磨き上げ、自らと社会の未来を切り開くための素地を養うものであったと感じております。人はそれぞれ大きな可能性を有しながら、不完全な存在でもあります。そんな人同士が、学びの場で時間と空間を共にして、相互に磨き合い、成長していくプロセスが大学院にはありました。
現在の研究は、院生時に取り組んだ遠隔看護による前立腺がん患者への介入方法をいかし、「外来化学療法中のがん患者に対する症状の増悪予防を目的とした遠隔看護システムの開発」というテーマで研究を進めております。医療の支援提供の場は、入院中や外来だけでは困難な状況であり、医療機関から離れた在宅での支援システムの構築が必要であります。情報通信技術の飛躍的な進展と、オンライン診療の保険適用化など、近年医療を取り巻く環境は大きく変化をしております。現在取り組んでいる研究によって、がん患者がより豊かで、より幸せな人生を送ることができるように、幅広くきめ細やかな支援方法を確立できるように日々頑張っていきたいと思います。